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四万温泉 四万やまぐち館 ~グルメと湯の旅~ 【前編】

群馬県吾妻郡中之条町 四万(しま)温泉 四万やまぐち館



~お知らせ~
この記事の料理を担当されていた
青木聖人料理長は
2015年11月現在
すでにやまぐち館を退職され、
現在は別の料理長が料理を担当されているとのことです。
よって、この記事の料理内容と現在の料理内容は
若干異なるおそれがあります。
あらかじめご了承ください。


・・・・・・・・関連記事・・・・・・・・
 【2013 再訪記】
【2014 再々訪記】



夏も終わったし、
どこか旅に出たいなぁと
思ったわけなのである。
(小松基地航空祭も行けなかったし・・・)

さて、どこに行こうか。

旅の基準はただひとつ。

「美味いめし」

である。
食事が美味しいこと、これこそ至上命題なのだ。


どれほど豪華絢爛な調度品を散りばめた
まばゆいばかりの宿だとしても、
そこで出される食事がイマイチであれば
旅の楽しみは半減する。

適当な値段の適当な宿に泊まって
ほどほどの食事でお茶を濁すより、
どうせ稀有な旅行なのだから、
多少無理をしてでも
納得のゆく宿に泊まりたい。

であるから、
旅先の宿は食事の内容優先で探すことになる。
美食の宿はどこだ。

そこで、元祖ウマイメシ主義者たる
両親に伺いを立てた。
どっか近くで飯の美味い宿ないか?

「あ~、それなら、四万温泉の"やまぐち館"ってトコがいいわー」

即答である。

「ああ、それも普通のプランじゃなくてね、
"谷の茶屋"っていう特別室みたいで食べるプランがあるのよ。
そこの料理は良かったわー。あそこならもう一度行ってもいいわ」
と母。

「おう、あそこはイイぞ。風呂も良いしな。飯は美味いしな、行ってこい」
と父。

「あんた達が行って、やっぱり料理が美味しいってことになれば、お母さん達また行くから」
「ぉお?なんなら明日行くか? んくっくっく」
すでに多量のエタノールを摂取してご機嫌な父が、おかしな呂律で笑った。

なるほど。
急進的ウマイメシ主義者の両親がそこまで言うなら、
ということで、旅先が決定したのであった。





で、宿に到着したのであった。
(都合により話急展開)

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四万温泉 やまぐち館
創業は約300年前、
江戸時代、延宝年間とか。

現在は近代的な
大きい旅館になっている。


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宿のいたるところで目にするこのマーク。
そう、
おでんである。
こんにゃく+はんぺん+玉子。

・・・ではないのである。

△ (やま)
□ (くち)
○ (かん)
=やまぐち館
なのである。

従業員の方々は
皆、背中にこのマークの入ったTシャツを着ている。
なかなかカッコいいのだ。

さて、話は本題に入る。
今回のメシウマ旅の核をなすのは
この「谷の茶屋」での食事である。

「8組限定“食のおもてなし”こだわりのグルメプラン 」
迷うことなく、これをチョイスした。

時刻は午後6時半。
この時のためにと、お昼はおにぎり2個で我慢した。
軽くめまいを覚えるような空腹感を抱きつつ
「谷の茶屋」に到着。

a0155104_22224730.jpg


このたたずまい、
期待が高まる。


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ちなみに、
中はテーブル8席(だったと思う)
が、間仕切りで仕切られた半個室で
とても落ち着いた空間になっている。


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食前酒の梅酒に続き、
いよいよ1品目。


~ 先付 コンソメゼリー ~
(バジル うに ずわい蟹 帆立 オクラ 茄子 フルーツトマト 冬瓜)

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卵豆腐をベースに、上にコンソメゼリー、その上に各種具材。
ご覧のとおり、良く冷やされた器で供される。
見た目にも美しい一品。
先付で、ぐっと心を掴んでくる。
否が応にも今後の展開に期待が高まるというものだ。

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~ 吸物 清汁仕立て ~
(すだち 松茸 ハモ 巻き海老 百合根)

秋の黄金比率、鱧と松茸の吸物。
鱧と松茸の蜜月関係は言わずもがな、
とにかく、出汁が美味しい。
これでもか!というくらい濃厚な出汁。

うむぅ、美味なり。

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~ お造り ~
生まぐろ 真鯛 あしらい一式

この迷いなき盛り付け。
少ないようだが、じつはこれで十分なのである。
「あ、ちょっと少ないかな」というその感覚こそ、
じっくり味わうことのきっかけになり得るし、
「もうちょっと食べたいな」というその感覚こそ、
次の料理に期待をつなぐということなのだ。

思うに、
宿の料理に刺身の舟盛りは要らない。
食っても食ってもなくならない刺身は悲しい。
舟盛りは、いくら美味しくても魚への評価を落とす。

刺身を中心として
山芋、里芋の茎、食用菊のおひたしが添えられる。
薬味は蓼と生わさび。
わさびは外皮を徹底的に厚剥きしてから摺りおろしてあった。
いわゆる「黒い粒々」が混じっていない。
細かいところだが、そういうところにグッとくるのである。


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鮮やかな赤身にわさびの緑が映える。
いよいよ日本酒がすすむのであった。

それに比例して
写真は危うくなってくる。
歩留まり率低下で、
ブログ掲載の危機を迎えつつあるのだが・・・

a0155104_22212414.jpg


~ 煮物 鮎煮浸し ~
(木の芽 南京 赤万願寺 つる菜)

甘めの出汁で煮浸しにした鮎。
しっかりと旨味を吸い込んだ鮎は
骨までご馳走である。
具材によって染み込んでいる味が少し違うように感じた。
鮎と野菜は別々に炊いて、盛り付けであわせてあるのかもしれない。
山椒の若芽が爽やかさを添える。


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~ 温物 ふかひれ和風煮 ~
(ふかひれ アスパラ かぶ ペコ玉 パプリカ)

温物は後述の「上州和牛」と選択できる。
まずは、ふかひれから。
ふかひれを鰹出汁で炊き、
葛粉でとろみをつけてある。
ふかひれといえば中華のイメージだが、
和風の味付けも素晴らしい。

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鰹出汁の旨味をたっぷり吸って
ゼラチン化したふかひれがたまらない。
ふかひれは出汁の味をもろに反映するので、
出汁が非常に重要なのであろう。

酒がすすむ。

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~ 温物 上州和牛のサーロインステーキ ~
(上州和牛 アスパラ かぶ ペコ玉 パプリカ)
(にんにく醤油 味噌だれ 塩コショウ)


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サーロインステーキと言っても
この繊細な盛り付けである。
背筋を伸ばしつつ頂く。

添えられるタレは3種。
味の変化を楽しめるようになっている。
味噌だれは、味噌、マヨネーズをベースに、おろし玉ねぎをブレンド(多分)。
にんにく醤油は、よくあるおろしにんにく醤油ではなく、にんにくを漬け込んだ醤油だと思われた。
おろしにんにくでは強烈すぎるきらいがあるけれど、このにんにく醤油は味がこなれていて美味しかった。
そして、塩コショウ。
この色からすると、おそらくヒマラヤ岩塩だろう。

牛肉は程よいレア。
赤身の中で脂肪が透き通る温度となっている。
口に入れると、
まず、脂肪の甘みが広がって、そして赤身のアミノ酸がじわっと後を追ってくる。
添えられたスダチを絞って、ヒマラヤ岩塩コショウ。
思わず幽体離脱しそうな美味さであった。


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~ 天婦羅 ~
(さつまいも 茗荷 モロッコ隠元 岩塩)

ステーキの次に天ぷらと来たので、
ちょっと重いような不安に駆られたのだが、
杞憂であった。

普通の天ぷらよりも高温でカラッと揚げてあり、
全く重さはない。
サツマイモもインゲンも美味しかったが、
特にミョウガの天ぷらに感動した。
ミョウガって、揚げてもこんなに美味いのか・・・


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~ 食事 きのこの炊き込み御飯 ~
(木の芽 舞茸 しめじ茸 エリンギ茸 タモギ茸 椎茸)

茸の炊き込みご飯が、
ご飯茶碗にそっとよそられて登場する。

完全に計算されたその分量に驚く。
ここまで食べた料理を総合して、
「ご飯なら、このくらいなら残さず食べられるかな」
と思えるくらいの量ピッタリで出てくるのである。

こういう料理の出し方は、
それなりに自信と確信がないとできない。

客が食べきれない量をガッと出して、
分量で満足させるほうが至極簡単であるし、
多くの宿がそうしているにもかかわらず、
敢えてギリギリの「適量」で勝負するその心意気。
素晴らしい。


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~ 留椀 赤出汁 ~
(粉山椒 豆腐 小松菜 晒し葱)

これまたしっかりとダシが効いていて
程よく酔いが回った身体に染み込むのである。

赤出汁大好き人間にはたまらない。


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~ 香物 五種盛り ~
(大根 白菜 きゅうり 茄子 人参)

漬物は、中心部にまだ生の野菜の味がしっかり残っている、
浅めの漬かり方が好きだ。
これはそういう漬物で、大満足だった。

注目すべきは、漬物の切り口。
断面がピカピカしている。
口に入れると、その断面のなめらかな触感が心地いい。

ちょっとサビがきているような、
家庭用文化包丁では、絶対にこういう切り口にはならない。

丹念に研いだ、鋭い切れ味の包丁を使っているのだ。
漬物の断面は、包丁と料理人の心意気を物語る。


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~ デザート マンゴープリン ~
(桃 メロン ミント)

デザートも素敵な器で登場した。
料理もさることながら、
ここは器も変化に富んでいて楽しい。

マンゴープリン。
白桃のコンポートとメロンがトッピングされている。


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すくい上げると、マンゴープリンの上に黒い粒々。
バニラビーンズを贅沢に使用している。
一口・・・。
マンゴーの甘味と酸味、
爽やかな香りが広がる。
そこにバニラが華を添え、
挙句に桃だのメロンだの・・・

お腹は満たされているはずなのに、
もう一口・・・
の境地なのである。
別腹伝説は確かに実在したのであった。


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ご馳走様でした。
久しぶりに大満足の宿食だった。


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「谷の茶屋」の窓辺から、小さな滝が見えた。
そう、ここは展望にも風情があるのだ。

満たされた気分で「谷の茶屋」を後にする。

四万温泉の夜は更けていく。


~ 【後編】につづく ~



by TamaWakaba | 2012-10-09 15:01 | 外食日記 | Trackback
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