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小松基地航空祭2016【飛行教導群/アグレッサー】パイロット


【F-15機動展示】【救難展示】【ブルーインパルス】【飛行教導群/アグレッサー】

石川県小松市 航空自衛隊小松基地 飛行教導群


迷彩塗装のF-15DJが
空へと駆け上がる。

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だがこれは
航空祭用のスペシャルマーキング機ではない。

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ブルーインパルスのような
アクロバット飛行隊の所属機でもない。

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この迷彩柄のF-15が住処としているのは

「飛行教導群」。

通称、
「アグレッサー」。

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航空自衛隊に所属する戦闘機乗りの中でも
極めて優れた技量を有するパイロットだけが集まる
特別な飛行隊。

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彼らに与えられた任務は
「空中戦における戦技指導」。

日本各地に展開する
一線飛行隊のパイロットに
空中戦の技術を指導する「師範」の集団だ。

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彼らの戦技指導はいかなるものなのか。

それは
「敵になりきる」
こと。

彼らは空の上で、
F-15として戦うだけでなく、
有事の際、一戦を交えるおそれのある他国の航空機、
例えば、スホーイやミグの
機動や戦術を徹底的に再現して飛び、
敵による航空侵攻を現示してみせる。

彼らが「アグレッサー(Aggressor)=侵略者」
と呼ばれる所以はここにある。

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訓練では
いつの日か我々に矛を抜いてくる「かもしれない」
敵機との空中戦がリアルに演出される。

実戦と変わらぬ状況下で、
どう攻め、どう守るのか。

一線パイロット達の腕が試される。

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アグレッサーを相手に勝利できれば
それはまさに横綱相手に金星を勝ち取ることに等しい。

パイロットたちは
猛然と食らいつく。

だが、大抵の場合
勝負は瞬く間に決する。

初めてアグレッサーとの訓練に参加したパイロットは
彼らと自分との間に立ちはだかる
技量の差に愕然とするという。

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訓練を共にした一線パイロットから彼らは
「神様レベル」
と評されることもある。

F-15のパイロット、通称"イーグルドライバー"の資格は航空自衛隊の中でも、
ごく限られた者しか与えられない。
イーグルのコックピットに身を沈めている時点ですでに、
才能の神の祝福を受けていると言っても過言ではないのだが、
さらにそのイーグルドライバー達から、
崇敬の眼差しを送られるのが
アグレッサーのパイロットなのである。





小松基地航空祭の一大イベント、
F15大編隊航過に向け、303、306飛行隊とともに4機のアグレッサーが飛び立つ。

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30分後、
彼等は大編隊の左翼として戻ってきた。
時折小雨がぱらつく鈍色の空を背景にするとイーグルはモノクロの影に変わる。

アグレッサーの売りである迷彩柄も目を凝らさなければ分からない。

今年、小松デビューを飾ったばかりの彼らとしては
あまりにも控えめなお披露目だ。

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二度にわたる大編隊のフライバイが終わると
303、306飛行隊のイーグルが次々と着陸してくる。

彼らもおそらく、その最後に着陸してくるに違いない。

だが、いつまで経っても降りてくる気配がない。

地上では航空祭のプログラムが着々と進んでいく。

救難展示が終わりF2の飛行展示が終わり、
彼らがまだ降りてきていないことを誰もが忘れかけた頃、
「お待たせしました!」という突然の会場アナウンスとともに
迷彩イーグルは上空に再び姿を現した。

このタイミングで飛行展示を行うとは。

さすがはアグレッサー、
観客の隙をも突いてくるのだ。

スホーイカラーの#090号機が会場左手から進入。

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会場上空で180°ハイGターンを開始。

垂直近くまでバンクし
機体下面が露わになる。

翼の下に取り付けられているのは
外部燃料タンク。
1本あたりの燃料搭載量は610ガロン(≒2300リットル)

機体中心線に取り付けられている
オリーブドラブ色の装備は
電波妨害装置(ALQ-131)。

単座型のF-15Jの場合、
このECM装置は、座席の後ろの空間に収納されている。
しかし、教導群の運用する複座型のF-15DJは
前席後方の空間が後席として使われているので
ECM装置を搭載するスペースが無い。
機外懸架型のECMポッドを搭載しているのはこのためだ。

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アフターバーナー使用のハイGターンでかかる荷重は
およそ8Gに達するという。

通常の8倍の重力。
体重60キロは480キロに。
首から上に満タンの灯油ポリタンクをくくりつけているのと
同じような状況を想像してもらえば
それいかに凄まじい荷重かは
お分かりいただけると思う。

一般人であれば
だいたい4Gで腕を動かすことさえ辛くなるというが、
パイロットはその倍の荷重に耐えながら
首を回して周囲の状況を確認しつつ、
その手足でこの金属の鳥を操っている。

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彼らは会場上空を縦横無尽に飛ぶ。

見慣れた飛行展示のパターンとは違い、
機体がどちらから進入して
どちらに離脱していくのか予測がつかない。

撮る方も必死で追いかけるしかない。

彼らの変幻自在な航跡をファインダーで追いかけるうち、
その飛び方に、
今まで感じたことのない
違和感のようなものを感じた。

その違和感の正体がなんなのか
最初はよくわからなかったが、
彼らの飛行に目を凝らすうちに
あることに気づいた。

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イーグルは機体もパワーも大きく、飛び方も力強い。
特に航空祭の飛行展示では、
力任せともいうべき派手な機動が魅力でもある。

それに比べ、
彼らは、やたらと「ひらひら」飛んでいるように見える。
まるで木の葉が風に舞うように
軽々と空を滑っていく。

イーグルの荒々しさに慣れた目に
それはとても奇妙に映る。

教導群のイーグルは複座型とはいえ、
基本的なスペックは単座型のイーグルとほぼ同じ。
この飛行展示でも、
フルパワーでギリギリの旋回をしていることに
変わりはない。

だが、彼らの飛び方には
イーグル特有の「荒々しさ」が
感じられないのである。

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戦闘機を急旋回させる時、パイロットは
まず旋回すべき方向に機体を倒す「バンク」という動作を行い、
次に操縦桿を引いて「機首上げ」を行うことで、機体は急旋回を開始する。
旋回を中止して水平飛行に移るときは、その逆の手順を踏む。

彼らの飛び方をつぶさに見ていると
教導群のイーグルは
旋回に移行する動作と
旋回から離脱する動作が
明らかに違っている。

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展示飛行の花形、ハイGターン。
水平飛行からバンクをかける時、
地面と平行だった翼が、一瞬のうちに垂直近くまで立ち上がる。
大抵の場合、
立ち上がった翼が、勢い余って小刻みに揺れる。
だが、彼らのイーグルは
翼が目的の角度まで立ち上がると、そのままピタリと止まる。

バンク後、機首上げ動作で旋回に移る時、
普通であれば、機首上げした勢いで
イーグル全体がシーソーのようにバタバタ揺れる。
だが、彼らのイーグルは
まるで空中にレールでも敷かれているかのように
滑らかに旋回を開始する。

動くときには素早く、
だが、止めるべきポイントではすっと静止する。
全ての飛行動作において、
それが徹底されていた。

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一切の無駄がない機動。

まるで、
達人の舞う日本舞踊を見ているようであった。

一見緩やかなようでいて、
素早く正確無比な動作を繰り返す。
空中の一点で静止していた指が
最小限の弧を描いて
次の一点ですっと止まる。
それが、達人の舞だ。

彼らの飛び方は
まさにそれだった。

時速数百キロで飛ぶ
25トンを超える金属の塊が
舞踊家のしなやかな指先のように操られていた。

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空中戦、特に近接戦闘では
いかに小さく素速く旋回して、
自機を相手より優位な位置に持っていくか。
手持ちの運動エネルギーをどう使いこなしていくかが
勝負の鍵となる。

機体の動きに無駄があれば、
その一挙手一投足ごとに
僅かではあるが、エネルギーが余計に消費されていく。

その結果、機体の速度は減り、旋回半径は大きくなり、
いつの間にか敵に背後を取られ、
自分めがけて放たれたミサイルを
背中で受け止めることになりかねない。

そういう「無駄な動きの怖さ」を
彼らは知っている。
イーグルの有り余るようなパワーでさえ、
温存することの大切さを彼らは知っている。

だから、彼らはこの金属の猛禽を
これほど繊細に操る。

強いとは、相手を「凌駕する」ことだけを意味しない。
相手よりも「失わない」こともまた強さなのだ。

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「ヒョウモンダコ」の愛称で知られる#095号機が
左手から進入。と同時に横倒しになる。

そのまま姿勢を変えずに直進してくる。

ナイフエッジだ。

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わずか数秒の瞬間芸と思いきや、
10秒をゆうに超え、イーグルは翼を垂直に立てたまま、
滑走路上空を横切っていった。

F-15のナイフエッジが公式に披露されたのは、
1995年、百里基地で、204飛行隊の
F-15機種転換10周年を祝う記念式典でのことだ。
この時のナイフエッジの継続時間は
約4、5秒だったという。
当時はそれが限界とされていた。

それから20年。
今、イーグルのナイフエッジは、
教導群のパイロットによって、
ここまで進化している。

この機動ひとつとっても、
彼らが類稀な「イーグル使い」であることに
疑問の余地はないであろう。

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1時間を超える上空待機後であることと
生憎の天候だったこともあり、
飛行展示はあっという間に終了し、
彼らは地上に戻ってきた。

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大勢の観客に迎えられる。

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迷彩柄のイーグルは
通常のイーグルと比べ
何とも言えない威圧感がある。

機体と正対すると、
高速で回転するタービンの金属音が耳に刺さる。

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主翼付け根で赤色の衝突防止灯が
心臓の鼓動に似たリズムで明滅する。

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コックピットには2人のパイロット。
常に彼らは2名体制で動く。
緊迫する訓練において、
より正確な状況把握と安全確保を行うためだ。

機上から投げかける眼光は鋭い。

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キャノピーが開く。

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アグレッサーパイロットへの道は
誰にでも開かれるものではない。

本人がいくら転属を希望しようとも
最終的な登用の決定権は
常にアグレッサー側にある。

一線の飛行隊の中で、
操縦技術、人格、指導能力などに優れ
なおかつ、アグレッサーパイロットとしてのキラリと光る素質を
見出された者だけが、
いわゆる「一本釣り」の形でスカウトされる。

「あいつが欲しい」と言われるまでは
迷彩イーグルのコックピットは
どれほど腕の立つパイロットに対しても、
永遠に閉ざされたままなのだ。

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一線飛行隊では一目置かれるような
手練であったとしても、
アグレッサーの門をひとたびくぐれば
ベストパイロットの玉座に安住していることはできない。

ここでは誰もが階級や経歴に関係なく
「見習い」として再スタートを切る。
一度は光り輝いた才能の宝石も、ここでは再び原石として扱われる。

厳しい訓練を重ねながら、
戦闘機乗りとしての資質をさらに研ぎ澄ます日々を経て初めて、
アグレッサーパイロットとしてデビューすることが許されるのだ。

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戦闘機の性能が日々向上し
空飛ぶコンピューターと言われるようになった今日でもなお、
それを操るパイロットは
己の動物的勘や生存本能に頼る部分が大きいのだという。

恐ろしいほどの荷重を全身で受け止めながら
常に天地がぐるぐると入れ替わる世界だ。
悠長に考えている余裕などない。

考えるよりも先に体を動かし
先んじて敵にとどめを刺す。
「どうしたら勝てるのか」という条件は
頭ではなく体が覚えている。

アグレッサーの門をくぐるパイロットたちも
日々の訓練の中でそうやって戦いながら
ベストパイロットの道を登ってきた。

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ところが、
アグレッサーでは
それまでの強い自分を支えてきたはずの操縦法が
根本から否定されるのだという。

どうしてそこで旋回したのか。
どうして撃ったのか、撃たなかったのか。
敵機との位置関係はどうか。
僚機との連携はどうだったのか。

これまで
「勝利」の名のもと結果論的に是とされていた
無自覚な操縦の一部始終が
理論の俎上に載せられ、検証される。

空の上に、理由なき操縦などない。

そういう事実を突きつけられる。

過酷な3次元空間で
自他の動きを
常に冷静沈着に分析しながら
都度、最良の手段を選択する。

本当に強いパイロットとは
それをやってのける者なのだと
思い知らされる。

空中戦の勝敗を決するのは
運命の女神の微笑みなどではなく
常に自分自身なのである。

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彼らはここで
これまで培ってきたプライドの鎧を
一枚一枚剥がされながら
真のアグレッサーパイロットへと成長していく。

こうして迷彩イーグルを駆って
空を自在に飛び回る彼ら全員が
ひたすら己と向き合った茨の道を背にして
立っているのだ。

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アグレッサーの部隊マーク「白コブラ」。

このマークを右上腕に着けるのは
並大抵のことではない。

それは、
大空の神に見初められ
イーグルドライバーとして歩んできた者たちの中で
一握りの者だけが辿り着くことができる
さらなる到達点だ。

戦闘機乗りの道を極めた彼らによって
イーグルは真の力を解き放つ。

彼らが航空祭の飛行展示で見せた超絶技巧は
彼らの矜持そのものであった。

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今日も、
迷彩イーグルは空へと駆け上がる。

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自分を
そして他を
強くするために。


小松基地航空祭2016
― 完 ―






― 撮影機材 ―
EOS5D Mark III
EF70-200mm F2.8L IS II USM
EF500mm F4 L IS USM
EXTENDER EF2×III

― 参考文献 ―
『兵士を見よ』杉山隆男(新潮社)
『現代の航空戦』ビル・ガンストン+マイク・スピック 江畑謙介訳(原書房)
『ブルーインパルス 大空を駆けるサムライたち』武田頼政(文春文庫)
『最強の戦闘機パイロット』岩崎貴弘(講談社)
『JWings 2015年11月号』(イカロス出版)



― 後記 ―
二十数年前。
初めてアグレッサーの迷彩イーグルを目にした時のことは
今でもよく覚えている。
通いつけの本屋の店先で
何気なく開いた航空雑誌のムック本。
その見開きページの一角に
宮崎の海岸線の上をデルタ隊形で編隊飛行する
彼らの姿があった。
最初は、何かの記念塗装機だと思った。
でもキャプションを見れば、これが通常塗装なのだという。
わざわざ青灰色の制空塗装を施して
機体を空に溶け込ませる忍術戦法を重んじる戦闘機の世界で、
「さあどこからでも撃ってこい」と言わんばかりのド派手な塗装に
まず痺れた。
そして、この奇異な迷彩イーグルを操っているのは
航空自衛隊最強のパイロット達であるということが
私の心をさらに鷲掴みにした。
その日から、迷彩イーグルは私の憧れになった。
事あるごとにこのページを開いては、飽きもせず眺めた。
プラモデルもいくつ組み立てたか分からない。
当然、作ったのは全て複座型のF-15DJ。
エアブラシを使ってまでアグレッサーの塗装を再現することに熱中した。

いつか、この眼で見たいと思った。
だが、彼らの本拠地は宮崎県の新田原基地。
遠すぎた。
遥か南国の空を駆ける迷彩イーグルを思いつつ、
時だけが過ぎていった。

2016年、信じられないニュースが飛び込んできた。
「飛行教導群、小松に移転」
自衛隊の組織改編により
航空総隊直轄の「飛行教導隊」が「飛行教導群」に再編され
さらに、丸ごと小松基地に引っ越しをしてくるのだという。

いつか会いに行きたいと思っていたアグレッサーが
向こうから会いに来てくれる。
あまりの嬉しさに身震いした。

指折り数えた航空祭当日。
本降りの雨に見舞われた。
最も近所のエアベースである小松とて
気軽に行ける距離ではない。
雨の航空祭であれば、普通は遠征を断念するところだ。
でも今回は
どうしても行かねばならない理由があった。

雨でもいい。
ずぶ濡れになってもいい。
地上展示だけでも構わない。
夢にまで見た迷彩イーグルを、
彼らが本当に小松に来たということを、
この眼で確かめたかった。

そして、
雨に濡れる駐機場の真ん中に
迷彩イーグルはいた。

やっと、
やっと会えた。


航空祭が終わって、
撮った写真をRAW現像し
ブログにアップする。
最後に、
このアグレッサーの写真が残った。

このアグレッサーの記事だけ
書き進めることができなかったからだ。

迷彩イーグルを知ったあの日から
幾つもの関連書籍を読み漁り
彼らのことについて考えた。
書くべきことはいくらでもある。

しかし、書きたいことが多すぎて
うまくまとまらない。

思い入れが強すぎるというのも困ったものだ。

書いては消し、書いては消しを繰り返し
結局、全部消して振り出しに戻る。

思うように言葉を紡げない己の非力さを
これほど呪ったことはない。

結局、あれから4か月近くが経ってしまった。

写真ブログなのだから、
写真だけを載せればいいのかもしれない。

アグレッサーの奇抜な塗装は
いかにも写真映えする。
「こんな面白い塗装のF-15が飛んでるんですよ」
で終わらせてもいいのだ。

でも、私がやりたいのは
それではない。

被写体にはすべて
物語がある。

幾枚もの写真同士を繋ぐ
ストーリーがある。

私がやりたいのは
その物語を伝えることだ。

写真は有能だが
万能ではない。
写真だけでは伝わらないことが
本当に沢山ある。

だから、時には
言葉の力を借りねばならない。

写真と文章を連ねることで
スタイリッシュさとは程遠い
野暮ったいブログになってしまうことも否めない。

けれど、そこから何か一つでも
見る人の心に響くものがあれば
それでいい。

足踏みすることなく
一つでも多くの物語を届けられるよう、
写真と言葉の技術を
もっともっと磨いていきたい。

これからも、
そういうブログでありたいと思っている。



【F-15機動展示】【救難展示】【ブルーインパルス】【飛行教導群/アグレッサー】






by TamaWakaba | 2017-02-03 01:11 | 飛行機(軍用機) | Trackback | Comments(2)
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Commented by taketyh1040 at 2017-02-03 17:20
こんにちは。
写真の素晴らしさは勿論ですが、貴方の熱情とも言える熱い思いが伝わってくる文章にも打たれました。
それにしても、見事すぎるほどの写真、繰り返し見させて頂きました。
ありがとうございました。
Commented by TamaWakaba at 2017-02-06 17:34
taketyh1040
ありがとうございます。
あれやこれや考えあぐね、逡巡を繰り返すうちにこんなにも時間が過ぎ、
新鮮さに欠ける記事になってしまいました。
写真はシャッターを押せばとりあえず写りますが、
言葉はいくら頭に思い浮かべても一向に文章になってくれないので、
本当に困ってしまいます。
もっとスマートに書ければ良いのですが、今はこれが限界のようです^^;精進します。
長い記事にお付き合い頂いて、本当に恐縮です。
ありがとうございました。

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マキさん ありがとうご..
by TamaWakaba at 13:06

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