▼ 

平田浩一 加瀬秀雄 氷彫刻 『Crystal Fairy』 【9】

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】


3:00

中天に
青白い月が浮かぶ。
a0155104_23344804.jpg



気温はマイナス5度を下回った。

じっとしていると
足先が冷気でジリジリと痛む。
a0155104_23343593.jpg



羽の辺縁に
小さな部品を接合する作業が
続いている。
a0155104_23382128.jpg



3:07

左羽下端の接合に入る。
a0155104_23394394.jpg



この作業も、
サッと済ますわけにはいかない。

下向きの大きな部品は
しっかり固着させないと
自重で落下する恐れがあるからだ。
a0155104_23422104.jpg



完全に平面として整えられた氷を
重ね合わせると
濡れたガラス板を重ねたときのように
お互いがピタリと吸い付く。

氷の接合では
それがベストな状況だ。

だが、
アルミ板で完全な平面を出したつもりであっても
氷の表面には
微小な凹凸や
わずかな曲面が残ってしまうことがある。

そうすると、
接着剤として接合面に流し込む水が
氷と氷の隙間を通って
外に流れ出てしまい、
いつまでたっても氷同士は融合しない。

このパーツの接合がまさにそれだった。

濡れた軍手で氷を支え続け
10分後、ようやく作業が完了。
a0155104_23500152.jpg



3:30

平田さんは
右腕の制作に入る。
a0155104_00043064.jpg


7分後、
右腕の大まかな切削が完了。
a0155104_00052106.jpg



すぐに本体に接合。
a0155104_00080861.jpg



落下して破損したパーツも
所定の場所に接着され
事なきを得る。
a0155104_00091701.jpg



加瀬さんが
余った氷塊に
幾筋もチェーンソーの刃を入れている。

氷のパテ(通称「雪」)の材料である
細かい砕氷を作っているのである。

加瀬さんは
常に休む間もなく
平田さんをサポートし続けている。
a0155104_00190183.jpg



再び、台座部分の加工。
切り株から張り出した何かを
削り出している。
a0155104_00232783.jpg



右腕の曲面出し。
a0155104_00245816.jpg



4:00
右腕の加工が完了。
a0155104_00254151.jpg


4:03
右羽下端の接合。
a0155104_00281900.jpg



辺縁部の接合。
a0155104_00304776.jpg



曲面出し。
a0155104_00323817.jpg



右羽の接合と同時進行で
右側の台座にも
張り出した部分を作る。

チェーンソーを使って
驚くべき速さで
氷を刻んでいく。
a0155104_00364940.jpg



平ノミでさらに削る。
a0155104_00385850.jpg



ドリルで曲面を出すと、
そこには耳を立てた
ウサギの姿が。
a0155104_00412829.jpg



4:41

制作時間も残り1時間を切ったところで
ついに完成形が見えた。

いつもに比べれば
時間的な余裕はないが
平田さんも加瀬さんも
ゴールに向け
加速度的に作業の手を速めている。

平田さんがブロワーを使って
削り屑を吹き飛ばす。
a0155104_00433808.jpg



加瀬さんが
火の点いたガスバーナーを
平田さんに手渡す。

いよいよ、仕上げ作業だ。
a0155104_00464378.jpg



4:42

ガスバーナーによる
表面処理を開始。
a0155104_20521650.jpg



削ったままの氷の表面は
工具によってできた細かい傷で埋め尽くされており
氷本来の透明感に乏しい。
a0155104_21000353.jpg



そこで、
氷を高温の炎で素早く炙ることによって
荒れた表面だけを解かし、
溶けた水が再び凍ることで
氷にガラスのような光沢と
透明感が与えられるのだ。
a0155104_21034102.jpg



平田さんの作業と並行して
加瀬さんは
機材の撤収作業に入っている。
a0155104_21112350.jpg



制作時間が終了するとすぐに、
残氷の回収と
ライトアップが始まる。

それまでに、撤収作業を
あらかた終わらせておかなければならないからだ。
a0155104_21121323.jpg



4:50

表面処理が終了。
a0155104_21214732.jpg



そのまま平田さんは
台座の仕上げへ。
a0155104_21241722.jpg



表面処理は終わったが、
平田さんは作品全体を見回し、
部分的な修正を加えていく。

最後まで妥協はしないのだ。
a0155104_21255113.jpg



5:00

会場内には
生まれたての氷彫刻が
立ち並ぶ。
a0155104_21283005.jpg



どのチームも
最終仕上げに入っている。

制作時間はあと40分。

ラストスパートだ。
a0155104_21294226.jpg



いつもなら
製作終了のアナウンスが聞こえる前に
作業が全て終わっていることが多いが、
今回は
平田さんが道具を手放す様子はない。
細部の修正を続けている。
a0155104_21332054.jpg



残り約10分。
a0155104_21364186.jpg



5:40

「選手の皆さんは競技を止めてください」
制作時間終了のアナウンスが流れる。
a0155104_21390942.jpg



氷彫刻
『Crystal Fairy』
(クリスタルフェアリー = クリスタルの妖精)
完成。


12時間の戦いが
ついに終わった。


― 【10】に続く ―

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】



by TamaWakaba | 2017-03-09 02:01 | 氷彫刻
 ▲ 


基本的に何でも撮ります。     ※スマホの方は「PC版表示」での閲覧をおすすめします。
by 球わかば

球わかばプロフィール
リンクについて
著作権及び写真の使用
メディア掲載履歴

最新の記事

桜記2017【4】須坂市村山..
at 2017-04-22 01:14
桜記2017【3】臥竜公園の..
at 2017-04-17 22:34
メシを撮ること12 ねぎ餃子..
at 2017-04-15 16:39
桜記2017【2】新潟市・白..
at 2017-04-12 22:10
アマンダンスカイ キャンドル..
at 2017-04-09 16:20
花粉光環(花粉光冠)
at 2017-04-06 00:09
善光寺参道卯月
at 2017-04-04 08:35
桜記2017【1】長野市・ぱ..
at 2017-04-02 23:54
浜辺と漂着物
at 2017-03-29 18:21
秋間梅林
at 2017-03-27 00:03

記事ランキング

カテゴリ

全体
氷彫刻
花火
家でグルメ
外食日記
旅先見聞録
若一王子神社
松川響岳太鼓
イルミネーション
その他の祭・イベント
安曇野の白鳥
ニホンカモシカ
ニホンザル
アマガエル
名犬モモ
イヌ
ネコ
その他の生きもの
飛行機(軍用機)
飛行機(民間機)
夜空・星景・月
空・雲・天候
奈良井宿・妻籠宿
善光寺界隈
戸隠神社
その他の建造物・神社仏閣
自宅にて

梅の花
菜の花
スイレン
ハスとアマガエル
紅葉
その他の草木花
海辺の風景

自然風景その他
街の風景その他

物撮り
組写真的な組写真
ごあいさつ
お知らせ
レンズレビューと作例
その他

未分類

タグ

(38)
(17)
(7)
(6)
(5)
(3)
(2)
(1)
(1)
(1)

以前の記事

2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月

最新のコメント

flat_whiteさん..
by TamaWakaba at 10:53

ブログトップ | ログイン