加瀬秀雄 赤羽目健悟 氷彫刻『さあ出発!!海の中の新しい仲間と共に』【1】

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
長野県松本市 国宝松本城氷彫フェスティバル2018
全国氷彫コンクール チャンピオンシップ



2017年8月27日。

氷彫刻師、平田謙三さんが亡くなった。

a0155104_2263096.jpg


まだ70代半ば、
日本の氷彫刻界の牽引役の一人として
さらなる活躍を誰もが期待していた。

円熟期を迎えたその彫刻の技で
形を与えられるべき氷が
まだまだ沢山あったはずだった。

眉間に皺を寄せながら黙して氷と対峙する姿、
氷彫刻について話す時のはにかんだような笑顔が
今も目に浮かぶ。

謙三さんは、
帝国ホテル専属の氷彫刻職人として長年腕を振るいながら、
そのダイナミックな作風で、様々な氷彫刻大会での受賞多数。
松本の大会にも
息子の平田浩一さんと親子タッグを組んで出場し、
幾度となく金賞を勝ち取った。

翼を広げて舞い上がる鷲をモチーフにした、
金賞受賞作『2015年 飛翔』。

その後、謙三さんは松本の大会に姿を見せなくなった。
体調を崩されたとのことだった。

謙三さんの回復を祈りつつ、
華麗なる親子タッグの復活を
心から願っていた。

しかしそれはついに、
叶わぬ夢となってしまった。

謙三さんのいない冬は寂しい。




松本市、国宝松本城。

a0155104_11575237.jpg


もう二度と見ることはなかったかもしれない景色がここにある。

昨年、31回を迎えたこの氷彫フェスタで、
全国氷彫コンクールの終了が発表され、
惜しまれつつも、
大会はその長い歴史に幕を下ろした。

ところが4月、突如として関係者間で
大会継続を推す声が高まっていることを
地元のコミュニティ紙が報じた。

大会継続の方向で話が動き出している、と。

しかしその後、大会復活の話は全く聞こえてこなくなった。
地元紙の記事ページも削除されてしまった。

やはり、復活は無理な話だったのだろうか。

釈然としないまま夏が来て秋が過ぎ、
やがて白いものが舞い始める頃合いになって、
ようやく事態は動いた。

「継続」。

公式WEBサイトに
大会復活を知らせる文字が踊っていた。

a0155104_12361454.jpg


大会の継続は何よりも嬉しかったが、
個人的には別の戸惑いもあった。

実は16日からイタリアの
ジェラートワールドカップに出場のため
今年は松本に行けません


1月上旬に届いた、平田浩一さんからのメールには
そう記されていた。

イタリアで2年に一度開催される「ジェラートワールドカップ」。
そこに出場する日本代表チームの一員に、
氷彫刻職人として浩一さんが抜擢されたのだ。

聞けば謙三さんも生前、浩一さんのイタリア行きを
とても楽しみにしていたという。

そんな謙三さんの思いと、日の丸を背負って
浩一さんはイタリアに旅立つ。

異国の地で奮闘する浩一さんにエールを送りつつも、
平田さんのいない松本の大会に
どう向かい合うべきか悩む。

この7年間、
平田さんの氷彫刻に密着することだけを考えてきた。

平田さんの出場しない年はなかったし、
大会自体も、昨年で終了だと諦めていた。
だから、平田さん抜きの松本など
想像したこともなかった。

松本を撮りに行くべきなのか。
撮るならばどう撮るのか。
この状況を一つの区切りと考えて、
撮りに行かないという選択肢も考えるべきなのか。
正直、悩んだ。

だが、気になることがあった。
浩一さんからのメールには
(今年の松本の大会には)加瀬さんが親父が育てた若いのと参加します
とあった。

「加瀬さん」とは
昨年の大会で浩一さんと組んだ加瀬秀雄さんだ。
「親父が育てた若いの」
とは誰か。

a0155104_14280913.jpg


浩一さんが氷彫刻の道へと誘った加瀬さんが
どんな活躍を見せるのか気になる。
さらに、他界した謙三さんが育てたという、
若き人材というのも気になる。

そう考えているうちに、
自然と心が松本の方を向いていく。

カメラバッグに
機材を詰め込んだ。




2018年1月20日。
17時00分。
松本城公園。

製作開始を待つ大勢の観客。
a0155104_14360229.jpg




制作現場では
各組10本ずつ配布された氷柱が
彫刻されるのを待っている。
a0155104_14505471.jpg




製作に先だった「出陣式」。
今回出場する総勢17チームの選手が登壇。
a0155104_14581424.jpg




ステージの上手寄りに
加瀬さんの姿があった。
そして、その後ろには
謙三さんが育てたという
赤羽目さんの姿。
a0155104_15013118.jpg





天候、快晴。
夕空に三日月が光る。

気温は摂氏6度。
氷彫製作には暖かすぎる気温だ。

天気予報では、今夜の冷え込みは期待できないらしい。
a0155104_15202244.jpg



準備を進める両氏。
これからどんな夜が待ち受けているのか。
a0155104_15263418.jpg




製作開始間近。
いよいよ緊張が高まる。
a0155104_15242286.jpg




【2】に続く


【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】


by TamaWakaba | 2018-03-03 12:15 | 氷彫刻


基本的に何でも撮ります。     ※スマホの方は「PC版表示」での閲覧をおすすめします。
by 球わかば

球わかばプロフィール
リンクについて
著作権及び写真の使用
メディア掲載履歴
Twitter(更新通知+つぶやき)

*

最新の記事

ブログ引っ越します!
at 2018-07-10 22:58
ラベンダーとミツバチ
at 2018-06-25 23:53
称名滝(しょうみょうだき)を..
at 2018-06-17 09:47
「大内宿」 と「さざえ堂(円..
at 2018-06-10 22:37
那須神社皐月
at 2018-06-06 17:32
牛伏寺薄暑
at 2018-05-26 23:17
きりたんぽ鍋風鍋― メシを撮..
at 2018-05-18 23:37
菜の花咲く
at 2018-04-28 16:25
小布施町・千曲川堤防の桜堤(..
at 2018-04-24 18:16
弘法山古墳の桜 ― 桜記20..
at 2018-04-19 21:53

記事ランキング

カテゴリ

全体
氷彫刻
花火
家でグルメ
外食日記
旅先見聞録
若一王子神社
松川響岳太鼓
イルミネーション
その他の祭・イベント
ニホンカモシカ
安曇野の白鳥
ニホンザル
アマガエル
名犬モモ
イヌ
ネコ
その他の生きもの
飛行機(軍用機)
飛行機(民間機)
夜空・星景・月
空・雲・天候
奈良井宿・妻籠宿
善光寺界隈
戸隠神社
その他の建造物・神社仏閣
自宅にて

梅の花
菜の花
スイレン
ハスとアマガエル
紅葉
その他の草木花
海辺の風景

自然風景その他
街の風景その他

物撮り
組写真的な組写真
ごあいさつ
お知らせ
レンズレビューと作例
その他
仁科濫觴記
写真考

未分類

タグ

(42)
(21)
(16)
(15)
(9)
(7)
(6)
(3)
(3)
(3)
(2)
(2)
(1)

以前の記事

2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月

最新のコメント

hi-guchiさん ..
by TamaWakaba at 21:42